Python演算子の完全ガイド|種類・使い方・優先順位を徹底解説

この記事では、Pythonで使用できる算術・比較・論理・代入・ビット演算子などの種類と使い方、優先順位や文字列・リストへの応用までを網羅的に解説します。基本から応用まで具体例付きで学べるため、演算子の意味や挙動が理解でき、コード記述の効率と正確性向上に役立ちます。

目次

Pythonの演算子とは

python+operator+guide

演算子の基本的な役割と用途

Pythonにおける「演算子」とは、変数や値に対して特定の操作や計算を行うための記号やキーワードを指します。演算子は数値演算だけでなく、文字列操作や論理判定、ビット演算など、幅広い用途で活用されます。プログラムの中でデータの処理や条件分岐を記述する際には、必ずと言っていいほど演算子が登場します。

例えば、+を使えば2つの数値を加算したり、文字列を連結したりすることが可能です。また、==を使えば2つの値が等しいかを比較でき、andorを用いれば複数の条件を組み合わせた論理判定も行えます。このように演算子は、Pythonプログラムの処理フローやデータの操作を直感的かつ効率的に記述するための重要な要素です。

また、演算子の正しい使い方を習得することで、可読性が高く、処理効率の良いコードを書くことができます。特に異なるデータ型に対する演算の挙動や、演算子同士の優先順位を理解しておくことは、バグを防ぐためにも重要です。

演算子の種類一覧

Pythonの演算子は、その用途や機能によっていくつかのカテゴリに分類されます。それぞれの演算子は特定の役割を持ち、シチュエーションに応じて使い分けます。以下は主な演算子の種類です。

  • 算術演算子+-*///%**@ など。数値や行列に対する計算処理を行います。
  • 代入演算子=+=-= など。変数に値を代入したり、計算結果をそのまま代入したりします。
  • 比較演算子==!=<><=>=isis notinnot in。値の等価性、大小関係、同一性、所属関係を判断します。
  • 論理演算子andornot。条件式の論理的な組み合わせや否定を行います。
  • ビット演算子&|^~<<>>。整数値をビット単位で操作します。
  • 条件(三項)演算子x if 条件 else y のように、1行で条件分岐を記述できます。
  • 文字列演算子:文字列同士の連結や繰り返し、部分取得などを行います。

これらの演算子を正しく使い分けられるようになると、Pythonコードの表現力が大きく向上します。それぞれのカテゴリに含まれる演算子の詳細や使用例を理解することで、実践的なプログラミングスキルを高められるでしょう。

算術演算子の使い方

python+operator+guide

加算(+)

加算演算子 + は、数値同士を足し合わせるために使用します。整数や浮動小数点数だけでなく、複素数や一部のシーケンス型(例: 文字列やリスト)の結合にも利用できます。特に数値計算においては最も基本的なPythonの演算子のひとつです。

# 数値の加算
a = 5 + 3  # 8

# 浮動小数点数との加算
b = 2.5 + 4  # 6.5

減算(-)

減算演算子 - は、左辺の値から右辺の値を引くために使用します。また、単項の - は符号の反転(負の数の生成)にも使えます。金融計算や統計処理など、差分を求める場面で頻繁に用いられます。

# 差の計算
x = 10 - 4  # 6

# 符号反転
y = -3  # -3

乗算(*)

乗算演算子 * は、2つの数値を掛け算します。また、文字列やリストなどのシーケンス型に対しては繰り返しを行う機能も持っています。科学計算やアルゴリズム実装でも多用される演算子です。

# 数値の掛け算
p = 6 * 7  # 42

# 文字列の繰り返し
s = "Hi" * 3  # "HiHiHi"

除算(/)

除算演算子 / は、常に結果を浮動小数点数で返します。整数同士の割り算であっても小数点以下が保持されるため、精密な計算が可能です。Python 3以降の仕様で、この挙動は統一されています。

# 通常の除算
result = 7 / 2  # 3.5

整数除算(//)

整数除算演算子 // は、小数点以下を切り捨てて整数値を返します(結果は整数型または浮動小数点型になります)。ループのインデックス計算やページ分割処理など、小数部が不要なときに便利です。

# 整数除算(切り捨て)
pages = 17 // 5  # 3

剰余(%)

剰余演算子 % は、割り算の余りを返します。偶奇の判定、周期的な処理、数の循環計算などに利用されます。負の数に対してもPythonの規則に従った結果が返ります。

# 剰余の計算
remainder = 17 % 5  # 2

# 偶奇判定
if 7 % 2 == 1:
    print("奇数")  # 奇数

累乗(**)

累乗演算子 ** は、左辺を右辺で累乗します。平方や立方、任意の累乗計算が簡潔に記述できます。科学技術計算や統計処理でも頻繁に活用されます。

# 累乗計算
square = 5 ** 2  # 25
cube = 2 ** 3    # 8

行列積(@)

行列積演算子 @ は、Python 3.5以降で追加された演算子で、NumPy などのライブラリにおいて行列の積を計算する際に用いられます。線形代数や機械学習の分野で重要な役割を担います。

import numpy as np
A = np.array([[1, 2], [3, 4]])
B = np.array([[5, 6], [7, 8]])
C = A @ B
# 結果: [[19 22]
#        [43 50]]

算術演算におけるエラー例(ZeroDivisionErrorなど)

算術演算では、不適切な計算によってエラーが発生する場合があります。最も代表的なのは ZeroDivisionError で、0で割り算をしようとしたときに発生します。そのほかにも、行列積の次元が合わない場合には ValueError が生じます。エラーを回避するためには、演算前に分母や次元のチェックを行うことが重要です。

# ZeroDivisionError の例
try:
    result = 10 / 0
except ZeroDivisionError:
    print("0で割ることはできません")

代入演算子の使い方

python+operator+assignment

単純代入(=)

Pythonにおける単純代入演算子(=)は、右辺の値やオブジェクトを左辺の変数に割り当てる際に使用します。もっとも基本的な演算子であり、すべてのプログラミングにおいて基礎となる操作です。

# 単純代入の例
x = 10
y = "Python"
print(x)  # 10
print(y)  # Python

上記例では、整数10を変数xに、文字列"Python"を変数yに代入しています。Pythonでは変数の型を事前に宣言する必要がなく、右辺の値に応じて自動的に型が決まります。

複合代入(+=、-=、*=、/=、%=、**=、//=、&=、|=、^=、=、>>=)

複合代入演算子は、単純代入と他の演算を組み合わせた形式で、コードを簡潔に記述できます。例えば、a = a + 5a += 5 のように書き換えることができます。処理速度に大きな差はない場合が多いですが、可読性やメンテナンス性の向上に役立ちます。

演算子 意味
+= 加算して代入 x += 3
-= 減算して代入 x -= 2
*= 乗算して代入 x *= 5
/= 除算して代入 x /= 4
%= 剰余演算して代入 x %= 2
**= 累乗して代入 x **= 3
//= 整数除算して代入 x //= 2
&= ビットANDして代入 x &= 1
|= ビットORして代入 x |= 2
^= ビットXORして代入 x ^= 3
<<= ビット左シフトして代入 x = 1
>>= ビット右シフトして代入 x >>= 1
# 複合代入の例
x = 10
x += 5   # x = x + 5 と同じ
print(x) # 15

y = 8
y = 2  # y = y  2 と同じ(ビットシフト)
print(y) # 32

複合代入演算子は、変数の再計算と代入を1ステップで行えるため、特にループ内や数値計算処理で頻繁に利用されます。

代入式(ウォルラス演算子 :=)

Python 3.8以降で追加されたウォルラス演算子(:=は、代入を式として使用できる機能を提供します。これにより、変数への代入とその値の評価を同時に行えます。

# ウォルラス演算子の例
if (n := len("Python")) > 5:
    print(f"文字数は {n} です")

この例では、文字列の長さを変数nに代入すると同時に、その値を使って条件式を評価しています。従来であれば次のように2行に分ける必要がありました。

n = len("Python")
if n > 5:
    print(f"文字数は {n} です")

ウォルラス演算子を使うことでコード量を減らせ、特にループ処理や条件分岐条件内での再利用が便利になります。ただし、過度に使用すると可読性が下がる場合もあるため、適切な場面での使用が望まれます。

比較演算子の使い方

python+operator+tutorial

等価・不等価比較(==、!=)

Pythonでは、値が同じかどうかを確かめるために==、値が異なるかどうかを確かめるために!=を使用します。これらは文字列、数値、リスト、辞書などさまざまなデータ型に適用可能です。なお、比較結果はTrueまたはFalseのブール値として返されます。

# 等価比較の例
a = 10
b = 10
print(a == b)  # True

# 不等価比較の例
c = "Python"
d = "python"
print(c != d)  # True(大文字・小文字が異なるため)

重要な点として、==は「値の等価性」を評価しますが、「オブジェクトの同一性」までは保証しません。この違いは後述するis演算子で確認します。

大小比較(<、>、<=、>=)

大小関係を調べる場合は、<(より小さい)、>(より大きい)、<=(以下)、>=(以上)を用います。これらは主に数値型で使用されますが、文字列でも辞書順で比較が可能です。

# 数値比較の例
x = 5
y = 8
print(x < y)   # True
print(x >= y)  # False

# 文字列比較の例(辞書順比較)
print("apple" < "banana")  # True

複数の比較を連結させることもでき、数学的な表現のように記述できます。

# 連結比較
z = 7
print(5 < z < 10)  # True

オブジェクトの同一性チェック(is、is not)

is演算子は、2つの変数が同じオブジェクトを参照しているかどうかを判定します。これは値ではなくオブジェクトID(メモリアドレス)を比較します。逆にis notは、異なるオブジェクトを参照している場合にTrueを返します。

# 同一性チェックの例
a = [1, 2, 3]
b = a
c = [1, 2, 3]

print(a is b)     # True(同じオブジェクトを参照)
print(a is c)     # False(値は同じだが別のオブジェクト)
print(a is not c) # True

特にミュータブル型(リストや辞書など)は==で等価でも、isでは同一でない場合があるため、意図に応じて使い分けることが重要です。

所属検査(in、not in)

inは、指定した要素がシーケンス(リスト、文字列、タプル、辞書など)に含まれているかを判定します。not inは、その逆で含まれていない場合にTrueを返します。

# 所属検査の例(リスト)
fruits = ["apple", "banana", "orange"]
print("apple" in fruits)     # True
print("grape" not in fruits) # True

# 所属検査の例(文字列)
text = "I love Python"
print("Python" in text)     # True
print("Java" not in text)   # True

辞書に対してinを使用すると、キーの存在を調べることができます。値の存在を調べたい場合は、values()メソッドを活用します。

# 辞書での所属検査
person = {"name": "Alice", "age": 25}
print("name" in person)             # True(キーをチェック)
print(25 in person.values())        # True(値をチェック)

所属検査は、データのフィルタリングや検索機能を実装する際に非常に便利なPython演算子です。

論理演算子(ブール演算子)の使い方

python+operator+logic

and(論理積)

Pythonの and 演算子は、両方の条件式が True のときにのみ True を返す論理演算子です。一般的に「かつ」の条件を表す際に利用され、複数の条件を組み合わせる場合に有効です。

# and の例
x = 5
print(x > 0 and x  10)  # True 両方の条件が満たされるため
print(x > 0 and x > 10)  # False 片方の条件が満たされないため

and では左辺の評価結果が False の場合、右辺は評価されない(短絡評価)ため、処理効率の面でもメリットがあります。

or(論理和)

or 演算子は、いずれか一方でも条件が True であれば True を返す論理演算子です。日本語では「または」に相当します。

# or の例
y = 8
print(y  0 or y > 5)   # True 片方の条件が満たされる
print(y  0 or y == 0)  # False 両方とも満たされない

こちらも短絡評価を行い、左辺が True の場合は右辺を評価しません。

not(論理否定)

not 演算子は、条件式の真偽値を反転させます。TrueFalse に、FalseTrue に変えます。

# not の例
logged_in = False
print(not logged_in)  # True  元は False なので反転される

条件分岐やループの終了条件など、直感的な真偽反転が必要な場面で役立ちます。

bool型以外に対する論理演算の挙動

Pythonの論理演算子は、bool 値だけでなく数値や文字列などにも使えます。非ゼロの数値や非空文字列は True として扱われ、ゼロや空文字列は False として扱われます。

# bool型以外の例
print(1 and "Python")   # "Python"  最後に評価された値を返す
print(0 or "Python")    # "Python"  最初の真と判定された値を返す
print(not "")           # True  空文字列は False として扱われる

この挙動を利用すると、デフォルト値の設定など、条件分岐を簡潔に書くことができます。

論理演算子の優先順位

Pythonの論理演算子には優先順位があり、not が最も高く、その次に and、最後に or が評価されます。複雑な条件式を書くときには括弧を使うと意図を明確にできます。

# 優先順位の例
print(True or False and False)    # True (and が先に評価)
print((True or False) and False)  # False 括弧で制御

演算の優先順位を理解することで、思わぬ条件式の誤解釈を防ぎ、より安全なコードを書くことが可能になります。

ビット演算子の使い方

python+operator+bitwise

ビット反転(~)

Pythonのビット反転演算子(~)は、整数の2進数表現における全ビットを反転します。これは符号付き整数の2の補数表現に基づくため、結果は単純にビット反転した値とは異なり、-(n+1)の値になります。

num = 5        # 2進数: 00000101
result = ~num  # ビット反転: 11111010(10進数では-6)
print(result)  # -6

この振る舞いにより、ビット反転は負数を生成する場面や、ビットマスクの構築時に利用されます。

ビットAND(&)

ビットAND演算子(&)は、対応するビットが両方とも1の場合にのみ1を返します。特定のビットを抽出するマスク処理や、権限管理のフラグ操作で役立ちます。

a = 6   # 2進数: 00000110
b = 3   # 2進数: 00000011
print(a & b)  # 結果: 2(00000010)

ビットOR(|)

ビットOR演算子(|)は、対応するビットのどちらかが1であれば1を返します。複数のビットをまとめて設定する場合によく用いられます。

a = 6   # 2進数: 00000110
b = 3   # 2進数: 00000011
print(a | b)  # 結果: 7(00000111)

ビットXOR(^)

ビットXOR演算子(^)は、対応するビットが異なるときに1を返します。ビットの反転や、暗号化・符号の切り替えなどに活用されます。

a = 6   # 2進数: 00000110
b = 3   # 2進数: 00000011
print(a ^ b)  # 結果: 5(00000101)

左シフト()

左シフト演算子(<<)は、2進数表現を指定した数だけ左にずらします。これは2のべき乗倍の計算に相当します。例えば、1ビット左シフトすると2倍、2ビットで4倍になります。

num = 3  # 2進数: 00000011
print(num  2)  # 結果: 12(00001100)

右シフト(>>)

右シフト演算子(>>)は、2進数表現を指定した数だけ右にずらします。これは2のべき乗で割ることと等価です。符号付き整数の場合、符号ビットを保持した算術シフトが行われます。

num = 16  # 2進数: 00010000
print(num >> 2)  # 結果: 4(00000100)

これらのビット演算子は、処理速度が速く効率的なため、低レベルなデータ処理やパフォーマンス重視のコードで活躍します。Pythonでは整数型に対して直接適用でき、演算結果は新しい整数として返されます。

条件演算子(三項演算子)の使い方

python+operator+syntax

if式とelse式による条件分岐

Pythonでは、シンプルな条件分岐を1行で書くことができる構文として、条件演算子(いわゆる三項演算子)が用意されています。条件演算子は、複雑なif文を使わずに短い可読性の高いコードを書くときに便利です。特に、変数に代入する値を条件によって切り替える処理に適しています。

基本的な書き方は以下のようになります。

変数 = 真の場合の値 if 条件式 else 偽の場合の値

例えば、数値が偶数か奇数かを判定し、その結果を文字列として代入する場合は次のように記述できます。

# Python 条件演算子の例
num = 7
result = "偶数" if num % 2 == 0 else "奇数"
print(result)  # 出力: 奇数

この書き方のポイントは以下の通りです。

  • ifより前に真の場合の値を記述する。
  • if 条件式が続き、その後にelseと偽の場合の値を書く。
  • 評価の結果として返されるのは値であり、そのまま変数に代入したり式の中で利用できる。

条件演算子は、短く簡潔に書ける反面、複雑な条件や処理を詰め込みすぎると可読性が低下するおそれがあります。そのため、「1行で条件に応じて1つの値を選択する」用途に限定して使うのがおすすめです。

さらに条件演算子は入れ子にすることも可能ですが、過剰にネストすると見にくくなります。以下は入れ子を使った例です。

# 三項演算子の入れ子例
score = 85
grade = "優" if score >= 80 else "良" if score >= 70 else "可"
print(grade)  # 出力: 優

このようにpython 演算子の中でも条件演算子は、if文とelseを組み合わせて直感的に条件分岐できる便利な書き方です。ただし、コードの可読性を保つためにも、用途と文量を意識して利用しましょう。

文字列演算子の使い方

python+operators+tutorial

文字列の連結(+)

Pythonでは、+ 演算子を使って複数の文字列を連結できます。これは、文章やメッセージを動的に作成する際によく利用されます。例えば、ユーザー名や日付情報などを挿入して表示したい場合に便利です。

# 文字列の連結例
first_name = "Taro"
last_name = "Yamada"
full_name = first_name + " " + last_name
print(full_name)  # 出力: Taro Yamada

上記の例のように、間に半角スペースを加えることで見やすい文字列を作成できます。注意: 数値型と文字列型を直接 + で連結するとエラーが発生するため、数値型を連結する際には str() 関数で型変換が必要です。

文字列の繰り返し(*)

* 演算子は、文字列を指定回数繰り返すために使用します。例えば、区切り線やパターンを生成する場合に役立ちます。

# 文字列の繰り返し
separator = "-" * 30
print(separator)  
# 出力: ------------------------------

変数と組み合わせることで、動的に長さを調整した繰り返しパターンを生成することも可能です。これは、コンソールアプリやテキストベースのUI開発においてもよく使われるテクニックです。

スライスによる部分取得([n:m])

Pythonのスライス構文 [n:m] を利用すると、文字列の一部分だけを取り出すことができます。n は開始位置のインデックス、m は終了位置のインデックス(ただし終了位置の文字は含まれません)です。インデックスは0から始まります。

# 部分文字列の取得
text = "Python演算子"
print(text[0:6])  # 出力: Python
print(text[6:])   # 出力: 演算子

ポイント: 負のインデックスを使うと、文字列の末尾から数えた位置を参照できます。また、[::] 構文を利用することでステップ幅を指定し、間引きながら抽出するような操作も可能です。

# 負のインデックスとステップ
print(text[-3:])     # 出力: 演算子
print(text[::2])     # 出力: Pto演子

このスライス機能は、文字列操作だけでなくリストやタプルなど他のシーケンス型でも使用できるため、効率的なデータ処理に欠かせない要素です。

演算子の優先順位と評価順序

python+operators+precedence

演算子の計算順序

Pythonでは、複数の演算子を含む式を評価する際、あらかじめ定められた「演算子の優先順位」に従って計算が行われます。これは、算数でいう「掛け算・割り算が足し算・引き算より先に計算される」というルールと同じ考え方です。また、優先順位が同じ演算子同士の場合は「結合規則(左から計算するのか右から計算するのか)」にしたがって評価順序が決まります。

以下は、Pythonの代表的な演算子の優先順位の一部を高い順に並べた例です(上に行くほど優先順位が高い)。

優先順位 演算子 結合規則
**(累乗) 右結合
*///% 左結合
+- 左結合
比較演算子(==!=<など) 左結合
and 左結合
or 左結合

例えば、次の式は優先順位に従って計算されます。

result = 2 + 3 * 4
# 3 * 4 が先に計算され、次に 2 + 12 が行われる
print(result)  # 出力: 14

このように、演算子の優先順位と評価順序を理解しておくことで、思わぬ計算ミスを防ぐことができます。

優先順位を制御する方法(括弧の利用など)

演算子の優先順位はあらかじめ決められていますが、プログラマーが括弧()を使うことで計算の順序を明示的に変更できます。これにより、Pythonは括弧内の式を優先して評価します。

例えば、先ほどの例で「足し算を先に行いたい」場合はこう書きます。

result = (2 + 3) * 4
# 2 + 3 が先に計算され、その結果 5 * 4 が行われる
print(result)  # 出力: 20

括弧を使う主なメリットは以下の通りです。

  • 計算順序を意図的に変更できる
  • 可読性が向上し、意図が明確になる
  • 複雑な式でのバグ発生を防止できる

また、ネストされた括弧も利用できるため、複雑な演算を構造的に記述できます。

result = ((1 + 2) * (3 + 4)) ** 2
# (1 + 2) → 3, (3 + 4) → 7, 3 * 7 → 21, 21 ** 2 → 441
print(result)  # 出力: 441

Pythonの演算子の優先順位括弧による制御を活用すれば、意図通りの評価順序で安全かつ読みやすいコードを書くことができます。

Python演算子の活用ポイントと学習のコツ

python+operator+guide

直感的に使える演算子と理解が必要な演算子の整理

Pythonの演算子はシンプルで直感的に使えるものから、やや文脈や仕様を深く理解する必要があるものまで幅広く存在します。効率的な学習のためには、それらを整理して優先順位をつけて学習することが重要です。

例えば、+- などの算術演算子は、数学と同様の感覚で使えるため比較的短期間で習得できます。一方で、isis not のようなオブジェクト同一性を判定する演算子や、@ 行列積演算子のように特定の場面でしか使わない演算子は、理解しておくことでコード品質の向上に役立ちます。

  • 直感的に使える演算子+-*///%
  • 条件や比較で頻出==!=<>innot in
  • しっかり理解すべき演算子isis not@、論理演算子(andornot)、ビット演算子(&|^

このようにカテゴリごとに整理して学習することで、「日常的に使うもの」から身につけ、「慣れたら特殊な演算子へ」とステップアップできます。特にPythonの比較演算子は、他言語と挙動が異なる場合があるため注意が必要です。

演算子の使い分けによるコードの効率化

Pythonの演算子を適切に使い分けることで、コードの可読性と実行効率を同時に高めることができます。似たような処理でも、選択する演算子次第でコード量や実行速度に差が出ることがあります。

例えば、変数に計算結果を再代入する際、a = a + 1 よりも a += 1 と書いた方が処理が簡潔になり、意図も明確になります。また、複数条件の判定では andor を活用することで、ネストの深いif文を避けられます。

# 冗長な書き方
if score >= 60:
    passed = True
else:
    passed = False

# 演算子を活用した効率的な書き方
passed = score >= 60
  • 数値の加減算や累積には複合代入演算子(+=*=など)を活用
  • 条件分岐には比較演算子や論理演算子を組み合わせて簡潔に記述
  • リストの要素確認にはin演算子を活用し、ループ処理を減らす

こうした細かな演算子の選択は、プログラムの動作そのものだけでなく、保守性やチーム開発での理解のしやすさにも直結します。特にPython演算子の適切な使い分けは、効率的で読みやすいコードを書くための基礎スキルと言えるでしょう。

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